自社事業で培った知見を世の中に活かしたい。老舗衣料卸からのIT企業創設ストーリー

大西グループの情報システム部門が独立して、2021年3月に誕生したGROWIT㈱。
衣料品や物販の小売店舗や飲食店舗運営におけるITシステムのサポート・開発の強みをフル活用して挑むのは、コスト・人材の面からIT化に踏み込めない中小企業に特化したビジネスです。
その実現に向けた強みの源は何なのか。そしてGROWIT㈱は何を目指すのか。
今回は、「創設の背景」を織り交ぜながら、GROWIT㈱取締役の阿多明直に聞きました。

構想から10年。ひとりのエンジニアの熱い想いから法人化へ

———卸問屋とITでは、領域(業界)が大きく異なるかと思いますが、なぜ法人化に至ったのでしょうか?

阿多: 
複合的な要素があるものの、最大の理由は、社内のシステム部門で留まるにはもったいないほどにエンジニアの技術力が高まり、その技術力を活かすことで、私たちだからこそお力になれることがあると考えたからです。
私はもともとシステムエンジニアなのですが、当時は新卒採用しかしていない中、即戦力エンジニアが必要とのことで、情報システム部門2人目の中途採用として入社しました。
当社は流通業界で世界初のオンラインリアルタイムシステムによる単品(SKU)管理を実現した実績があるものの、日進月歩のIT進化の渦中で、老朽化した社内システムを世間の水準に合わせるとともに、会社が求める事業効率性の底上げを図るには、エンジニアをはじめとする専門技術を備えた人材が全く足りていない状況でした。人材採用を進めながらも、社内の限られた人員で、必死にシステム改善を模索しながら対応した結果、より難易度の高いIT化が実現し、優秀なエンジニア集団となったのです。

大西グループの各事業のお客様や関連会社からも次第にIT化のご相談をいただくようになり、培った技術力をより幅広く活かし世の中に貢献できると考えました。そこで、システム部門の事業化について、2011年、経営層に発案したところ、まずは社内でやるべきことをやって完遂した暁に事業化、という判断が下りました。ざっと見積もっても数年では終わらないと思いましたが、「絶対に事業化で成功する!」という想いを胸に、粘り強く掛け合い続けました。



グループ内のシステム整備で培った確かな技術力

———事業化の初回提案から、実現まで約10年。なぜ、その期間を有したのでしょうか?

阿多:
事業化前のミッションが、グループ内システムの刷新だったのですが、難易度の高い挑戦でした。決して短くはない時間を経ていますが、結果的に、社内のエンジニアの技術力は飛躍的に向上し、そのステップを踏んだからこそ、事業化に至った現在、お客様に自信をもってサービスを提供できると感じています。

———システム整備とは、具体的にはどのようなことでしょうか。

阿多:
様々なことに取り組みましたが、大別すると、基幹システム(汎用機)の刷新、倉庫管理システム開発、DX推進、の3点ですね。
40年以上維持してきた基幹システムの刷新においては、クローズドだったシステムをオープン化し、業務の効率化はもちろんのこと、高額なシステム維持コストを約1/18まで削減することに成功しました。後から聞いた話ですが、当時の協力会社からは、例をみない高難易度の挑戦で「絶対に失敗する」と思われていたそうです(笑)。
在庫管理は事業の要と言っても過言ではないのですが、大西グループ全体の在庫量は2万アイテムにのぼり、一日当たりのピッキング数5,000から8,000行という膨大な倉庫業務を支えるシステムを一からスクラッチ開発しました。
大西グループ全体で年間49,800時間の手作業をRPAに代替するなど、RPA・AIデータ分析等を活用し省人化・省力化に寄与した実績も有し、現在も様々な視点から検討を継続し、DX推進に取り組んでいます。



ユーザー視点の提案力で、商いを元気に。“大西”らしさをIT分野でも発揮したい

———法人化から3年が経ち、手応えはいかがでしょうか?今後の展望も教えてください。

阿多:
小売・卸売業、飲食業向けのソリューションサービスと、業界問わずお客様の要望に応じた業務システム受託開発・保守サービス、と大きく2軸で事業を展開し、滑り出しは好調と実感しています。  
当社の一番の強みは、「IT開発ベンダー」と「ユーザー企業」という2つの側面を持ち合わせていることです。長きにわたりユーザーとして他社のITサービスを利用し、社内で適合させる大変さや、事業とシステムのバランスが取れたコスト管理の難しさを経験してきたからこそ、お客様のお気持ちがよく分かると思っています。必要なものだけを最適なコストで、というユーザー視点の提案に評価をいただいていると感じています。

 大西グループが経験してきたIT化の壁や、同様の課題を持っている会社、小売店、飲食店やサービス業など、たくさんいらっしゃいます。私たちの経験や培った技術を提供することで、流通業界の成長に貢献できると考えています。 




「小売店さんが元気じゃないと、卸売も元気になれない。」「小売店さんに貢献しよう、応援しよう」というのが、大西グループの卸売や店舗づくりです。「人を、商いを、元気にする!」のグループミッションのもと、IT分野でも、大西グループらしさを発揮しながら、事業を通じたサポートをさせていただくことで、流通業界が盛り上がり、ひいては世の中の発展にもつながると信じています。



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